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リリース日:2019年8月2日

トルコ南東部に熱視線 ギョベクリテペの世界遺産登録を契機に①

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19年のトルコは新しい世界遺産に沸き立っている。
人類最古の神殿跡ギョベクリテペが国内18 番目の世界遺産に昨年登録され、一般公開されているからだ。4 月中旬、この貴重な遺跡を巡る視察研修で拠点の町シャンルウルファと
ガストロノミーの町ガーズィアンテップを訪れた。

取材・文/竹内加恵

▲一般公開されているユネスコ世界文化遺産、ギョベクリテペの遺跡

トルコ7大地方の1つ、南東アナトリア地方は、古代メソポタミア文明が起こったチグリス川、ユーフラテス川が流れ込むエリア。この辺りに貴重な遺跡が眠っていても不思議ではないが、1963年に発見され、95年から本格的な発掘作業が始まったギョベクリテペは別格だ。ここは推定1万1500年も前にさかのぼる狩猟採集民による宗教建築という。ギザの
ピラミッドより7000年も前の世界最古の石像神殿と聞けば、考古学者でなくてもその価値が計り知れないことは想像に難くない。
 ゲートウェイとなるシャンルウルファの北東約15km、小高い丘の上にその遺跡はある。ギョベクリテペという地名は「太鼓腹の丘」という意味で、辺りは小高い丘と見渡す限りの緑が広がるだけだ。


▲遺跡を全天候型の建屋で保護 

 駐車場を降りるとすぐに2つの建物が目に入る。1つはビジュアルや模型で遺跡を解説しているビジターセンター、もう1つはギフトショップとカフェでどちらも真新しい。ここからマイクロバスで数分丘を登ると、独特のカーブを描く巨大なテント型の建屋が見えてくる。太古の遺跡に覆いかぶさるテントに初めこそ違和感を覚えたが、1万1500年も前の人類の痕跡が見事な形で残されているのを見ると、雨風に晒さない工夫だとわかる。また遺跡を囲むように造られた回廊から下をのぞき込む形で見学できる建屋は、この先大勢の観光客が押し寄せるだろうことを考えると正解だ。
 ギョベクリテペの特徴は、牛やイノシシ、キツネ、蛇、鴨などの描写が見られる3 ~ 6mのT 字型の柱がいくつも立ち並ぶ様子だ。生活の跡は見られず、宗教的な儀式や祭礼のために建てられたものと考えられている。
 4月のトルコはまだ寒く、観光のハイシーズンではなかったが、夕方にもかかわらず多くの観光客が観光バスで訪れていた。日本のパッケージツアーはトルコの西側に偏りがちだが、この新しい世界遺産は南東アナトリア地方という新しいトルコ旅行を提案
するための重要な鍵になりそうだ。

ゲートウェイは聖者の町

 ギョベクリテペのゲートウェイとなる聖アブラハムの町、シャンルウルファにも見どころは多い。中心部であるハレップリバフチェ考古学公園にあるシャンルウルファ考古学博物館とハレップリバフチェ・モザイク博物館は、2つ合わせて半日かけて回りたいほどスケールが大きい。


▲再現されたギョベクリテペのレプリカ

 考古学博物館にはギョベクリテペから出土した遺物が展示されているほか、レプリカでその大きさや雰囲気を間近に体感することができる。一方のモザイク博物館は、この場所から出土したモザイクをそのままの形で展示しているユニークな博物館。特に女性だけの戦士集団アマゾン伝説や半人半神の英雄アキレス伝説を描いたモザイク、キリストの顔を
描いた最古のモザイクなどは必見だ。


▲モザイクが出土した場所がそのまま博物館に 

 もう1つのお勧めは聖なる魚の池。この地域の王が預言者アブラハムを火刑にした場所だ。しかし火の中から出た水がアブラハムを助け、水は池となり、燃えさかる薪は魚になったと伝えられている。周辺は噴水やカフェがある緑豊かな公園になっているので、
ツアーでも自由に散策する時間を設けたい。敷地内には伝統手工芸のアトリエが並び、ネイと呼ばれる伝統楽器の演奏を聴いたり、イスラム書道の職人にアラビア語で名前を書いてもらったり、伝統文化を体験することもできる。


▲尺八の元祖といわれる縦笛のネイ


▲アブラハムにまつわる観光名所、聖なる魚の池

 シャンルウルファ文化観光局のアイドゥン・アスラン局長は、「シャンルウルファにある多くの旅行会社では文化的なツアーを提供できる」と語り、日本人旅行者の獲得に積極的。「町なかに残る石の家をブティックホテルなどにして、ホテル不足も解消していきたい」と意欲も示した。
 さらに、シャンルウルファでは2010年にスラゲジェスィが無形文化遺産に登録されている。気の合う仲間や友人が集まり、美味しい食事を食べながら音楽やおしゃべりを楽しむ伝統的な宴のことだ。この宴に欠かせない名物料理がチーキョフテ。簡単に言えば生肉のミートボールだが、ミンチにした羊肉や牛肉に小麦粉、トマトペースト、玉ねぎ、イタリアンパセリ、各種香辛料を混ぜているので味わい深い。


▲伝統の宴には美食と音楽がつきもの 

 ほかにもトルコ風の薄型ピザ、ラフマージュンも名物だが、今回は地元旅行会社のガイドドライバーが勧めるレバーのケバブを味わった。小麦粉の皮に香ばしく焼いた羊のレバー、ミント、パセリ、玉ねぎなどを挟んだB 級グルメは、日本にはない野生味にあふれた味だった。


▲香ばしい羊のレバーを豪快に味わう