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リリース日:2019年8月5日

トルコ南東部に熱視線 ギョベクリテペの世界遺産登録を契機に②

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取材・文/竹内加恵


▲ガーズィアンテップの名物バクラワは名産のピスタチオたっぷり

モザイクと美食のアンテップ


▲戦士像が出迎えるガーズィアンテップ城

 シャンルウルファと組み合わせて訪れたいのは、西へ約140km、ピスタチオの名産地として知られるガーズィアンテップだ。トルコの人々はアンテップと呼ぶが、第1次世界大戦後にこの地を占拠したフランス軍から町を守った勇敢な住民に「ガーズィ(戦士)」の称号が与えられ、ガーズィアンテップになった。彼らの像が町を見下ろす城の入り口に建てられていて、城を訪れる旅行者にかつてのエピソードを伝えている。


▲モザイクが見事なゼウグマ・モザイク博物館

 この町で最も外せない観光ポイントは、ゼウグマ・モザイク博物館だろう。11年のオープンで、モザイク博物館では世界最大規模。約7000㎡の展示スペースにゼウグマ古代都市遺跡から出土したモザイクや3世紀以降の東ローマ時代のモザイクなどが陳列されている。モザイクは、主にユーフラテス川の小石を材料に用いて、小片をパズルのように埋め込んで絵や模様を表す手法を指す。緻密な描写はもちろん、素材そのものの色を生かしていることに驚かされる。最も有名な作品として知られる「ジプシーの少女」も顔の印影が見事だ。巨大な壁画の一部である顔部分は、横78cm・縦53cmで別室に特別展示されていた。


▲有名モザイク「ジプシーの少女」は町のシンボル 

 ガーズィアンテップから東へ約50kmの地にあるゼウグマでは現在も発掘作業が進められており、その現場を見学することもできる。ゼウグマはアレキサンダー大王の武将であるセレウコス1世が紀元前3世紀に築いた古代都市。その多くは2000年に完成したビレジッキダムに沈んでしまったが、今も若いスタッフが地道な発掘作業を続けている姿が印象的だった。


▲現在も作業が続くゼウグマの発掘現場

 また、ガーズィアンテップは、ユネスコが進める創造都市ネットワークのプロジェクトで食文化(ガストロノミー)部門の「シティ・オブ・ガストロノミー」に認定されている。エルマジュ市場には新鮮な野菜や肉、ナッツ、香辛料など豊富な食材が並び、人々
は活気にあふれている。名物料理は多々あるが、何といってもスイーツのバクラワは代表格だろう。パイ生地にバターと名産のピスタチオをたっぷり入れ、蜂蜜をかけた焼き菓子のこと。かなり甘いがサクサクとしたパイ生地のせいか、病みつきになる美味しさだ。朝食代わりに食べることもあるというスイーツ、カトメルもガーズィアンテップ名物として知られる。創業1635年のタフミスカフェでは、焙煎したピスタチオの実を使ったご当地のメネンゲチコーヒーも味わいたい。


▲豊かな農産物や香辛料が並ぶ市場


▲ピスタチオを焙煎して作るメネンゲチコーヒーは奥深い

 ガーズィアンテップ商業会議所のメフメット・トゥンジャイ・ユルドゥルム会頭とメフメット・ヒルミ・テイムル専務理事は、町特有のモザイクとガストロノミーの魅力をもっと日本に広めたいという。「トルコと日本は歴史的関係が深く、観光でも新しいつながりを持ちたい」と話しており、また南東部の安全性についても強調した。

ダム湖に沈んだ美しい町

 南東アナトリア地方では、1980年代からトルコ政府によりダムや発電所を建設する南東アナトリアプロジェクトが進められている。2000年にはビレジッキダムが完成し、水の確保をはじめ、農業やその他の産業発展に大きく貢献している。
 しかし一方で、多くの村や遺跡がダム湖に沈んだのも事実だ。シャンルウルファとガーズィアンテップの間に位置するハルフェティは、半分がダム湖に沈んだ町として、観光名所になっている。13年に南東アナトリア地方で唯一のチッタスロー(スローシティ)に登録され、黒バラの産地としても有名だが、ここを訪れる観光客の目的はダム湖に沈んだ町の風景だ。


▲ダム湖に沈んだサヴァシャン村のミナレット

 湖畔から出発するボートクルーズから眺めると、モスクのミナレット(小塔)だけが湖面から突き出ていたり、無人のまま丘の上の家々が残っていたりと、住人の悲劇とは裏腹に美しい風景が目の前に広がる。クルーズはさらにその先へと進み、洞窟や完全に水
面下に沈んだ村、さらにハルフェティと同じくミナレットの一部が湖面から顔を出すサヴァシャン村の美しい風景を見ることができる。
 なお、シャンルウルファとガーズィアンテップの間は約140kmで高速道路で結ばれている。ハルフェティは一度高速道路を降りて少し北に向かった場所にあるが、その間の爽快なドライブも旅を彩る時間として忘れ難い。車窓には、どこまでも続くピスタチオやオリーブの畑、菜の花の黄色が一面に広がっていた。

イスタンブル空港が開港

 4月7日、イスタンブル市内中心部から北西へ約35kmの地に世界最大級のイスタンブル空港がオープンした。これにより、アタテュルク国際空港で発着していた全便が新空港へ移管され、ターキッシュエアラインズを利用したわれわれ視察ツアー一行も完成したばかりの新空港に降り立った。
 真新しい建物はどのエリアもスタイリッシュにデザインされ、とても一度では把握しきれない広さ。敷地面積は7650万㎡で成田空港の8倍に当たる。イスタンブルから中型機でアクセスできる都市は200以上で、まさに世界のハブ空港の1つといえる。開発は30年まで続き2本の滑走路は6本に、年間9000万人の利用者は2億人になる見込みとなっている。